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食堂PONTE :: 2012/06/30(Sat)

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食堂PONTEさん(click!)



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こぢんまり、木の風合が居心地よいお店



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ごはんはいつも色とりどり
素材の味を生かしていて、食べた時に気持ちがやさしくなる
(撮る前に食べてしまうのはお約束)




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カクテルの数ハンパ無い。
がしかし人気は日本酒とワイン
そのギャップもまたウリのひとつ




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DJブース×2もばっちり完備
music eventsも開催されている
(atoaはレジと間違えたらしい)




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喧噪をふっと抜けた、すきま空間に佇むPONTE
日常生活
行って食べて、自分を整えられる場所
人と人、人とごはん、人と音楽、自分と体、自分と自分、
そんなものたちへの架け橋(PONTE)



いめーじ
只今、梅雨と夏の境目の季節




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P.S. マトちゃんのしぃるも置いていただいてます♪


aya
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  1. れすとらん
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かもめ食堂さんのカレー :: 2012/04/06(Fri)

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旅する豆本展の今回の旅先、「かもめ食堂」さん。
今日はかもめさんのカレーのお話を。

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かもめさんのカレーは、『辛い!』です。
え!イキナリクレームですか?
いいえ、違います。
何がって、「辛さ」が違うのです。
かもめさんのカレーは、15種類のスパイスを「自家焙煎」、
それがじっくりと煮込まれるうちに味になって「カレー」になってます。
体に悪い添加物などを使っていないから、強い辛さにもあたたかみがあります。

私は普通のカレーを食べると後からジーワジーワ胸ヤケを起こしたりしますが
かもめさんのカレーはどんなに辛くてもそんなことありません。
食べた後スパイスたちが”体を元気にしてくれている感”があります。

そしてお野菜。
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かもめさんのお野菜はひとつひとつが「生きて」います。
カラフルな色と、生きた歯ごたえ、いい土に育まれたそれぞれに甘い味。
どれもこれもが”美人”野菜。
その美人さんたちを一番輝かせる盛りつけで魅せてくれるのが、
atoaとKobito Factoryメンバーが大好きな”野菜カレー”。

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こびとたちのつぶやきを聞いてみましょう。

☆野菜キラキラ 口ピリピリ 
かもめ姉さんがコトコト作ったカレーは
優しいけど刺激的で
一度食べるとクセになります!

☆キーマカレーは野菜の甘味からできている。
ちびっこもカレーの王子様的に食べていた。
最初に出てくる生野菜に『むむっ!』手を抜いてなさが伺える。

☆色鮮やかな野菜がたっぷり盛り付けられて、目にも舌にも美味しいカレー

☆野菜が沢山乗っていて見た目華やかで、
テーブルに運ばれて来た時点でテンションアップ
野菜の甘みの後にピリッとした辛さが後から感じられる。
鼻汗かきながら五臓六腑に染み渡る味を堪能しました


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辛くて甘く、ていねいにていねいに作られた熱いこだわりのカレー。
カレーにはウルサいよ、という方々、
ウルサくないよ、という方々、
どうぞみなさま、どうぞ春のかもめ食堂さんへ。
(atoaはかもめ食堂のマワシモノではありません。あしからず


aya

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  1. れすとらん
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MARKT(マルクト)さんのこと :: 2012/02/09(Thu)


現在atoaとKobito Factoryが
「旅する豆本展」(2/15まで)をさせていただいている
MARKTさん(click!)

今日はそんなMARKTさんをご紹介

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MARKTさんのキーカラーは何といっても「赤」
鮮やかな赤に、これまたくっきりとした発色のキイロや青がアクセントになってます
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ちょっとドイツの国旗みたいな色合いの場所みっけ
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ポップなんだけど、落ち着いた品のある大人のおしゃれ感があります。
明るい色使いでありながら、うわつかない空気感が出せるって言うのが、ドイツっぽい。
(「atoaya勝手な見解書」より)
なんちゃって。ご夫婦のセンスの賜物です。

こちらは外でカフェが楽しめるスペース。今ここでお茶をするには修行が必要ですが、
春になったらきっと最高ですね。
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このかわいらしいカップ、商品としても売ってありました
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気心の知れた大切な人と語らう時間にぴったりなカフェ~だと思います。
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みなさんMARKTさんへどうぞ。


aya

わたしたちの豆本展のこともブログに掲載して頂きました。ワーイ(click!)
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テーマ:お知らせ - ジャンル:ニュース

  1. れすとらん
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れすとらんのお話:Nicole (ニコレ) :: 2011/04/12(Tue)

福岡市中央区赤坂にあるレストランカフェ、ニコレさんで
atoaが展示会をさせていただいた際に書いた「ニコレのお話」です。
ちょっと展示の時から手をいれました。
書いた頃はまだ春前でしたが、
もうニコレさんの前の桜は葉桜になりつつあります。
時はすぐに移ろっていくのですね。

ニコレさんのあんまり更新されていない(笑)ブログはこちらClick!


ーーーーーーーー*–––***–––

Nicole (ニコレ)



 もうすぐ春、という声が掛かってからというもの、彼女はついてなかった。
発端は風邪で、暖房の効きすぎたデパートやショップをうろつく間に喉がイガイガし始め、
次第に焼けつくように痛くなった。
その痛みが咳に変化するのもあっという間だった。
喋ろうとすると咳が出て、止まらなくなり、しまいには涙まで出た。
 「私はもう喋りたくないのかもしれない」
にっちもさっちもいかなくなり会社を休んだ日の夕時、彼女はつき合っている彼にそう言ってみた。
彼は同情の感じられない声で、「ふぅん」と言い、
「早く病院に行けば?」と言っただけで、歩いて十五分とかからない彼女のアパートにさえ、
見舞いに来る気はなさそうだった。
そう遠くない別れの日を、彼女はありありと目の前に思い描いた。
別れの言葉さえも思いついたくらいだった。
ちょっと、メロドラマ風に。

 鈍くしか回らない思考回路をいくら渡り歩いても、ポジティブな言葉は出て来ない。
 「もうほっといて」
彼女はふとんの中でぎゅっと目をつぶり、口を大きく叫ぶように開き、
しかし音に出さずにそう言った。
 仕事はいよいよつまらなく、やりたくて飛び込んだ職種だったはずが
今は何のためにやっているか意味すら分からない。
多分、もう、お金のためだけだ。
 毎月、彼女はそこそこセンスのいい服を買ったが、
家に持ち帰った途端紙袋から出しもせずそこいらにほったらかしにすることが多くあった。
今も中身を思い出せない紙袋がほうぼうにつっ立っている。
部屋も肝心なところが片付かないまま、表面上だけを取り繕っている。
「こんな部屋にいたくない、いたくない」
彼女は化粧を始めた。
思い切り濃いめのメイクにしようと思った。
アイライナーが切れていた。
 彼女はあからさまに舌打ちした。
恨めしげに空のアイライナーを見た後、思いっきりゴミ箱に向けてぶつけるように投げつけた。
アイライナーはゴミ箱に当たり、当たり前、と言わんばかりにどこかへ弾け飛んで行った。
多分、見つかるのは数ヶ月後だ。

 外で猫が鳴いた。きっと二匹だ、と思う。
おたがいに向かって会話するように呼び合っている。
彼女は猫好きだったので、鳴き声を心地よく聞いた。
そして少し、それまでよりは深く息を吐いた。
その時やっと、自分の体からブスブスとつき出ている棘を、
数本くらいなら抜いてもいいかな、と思えた。
 彼女は鳴き声の主たちの姿を探しながらバス道路まで歩いて出た。
途中でシマ猫と出会ったが、直感的にその猫ではない気がした。
たるんだ空気の渦巻くバスに揺られながら、誰へとも知れない言い訳を考えていた。
誰に話すでもなく。

 天神に到着した。
バスのステップを降りるごと、ツキの悪さと一段ずつおさらばすることにした。
かわりに運転手が疲れた様子で小さくため息をついた。
 ひとしきり服や靴を見て回り、新しいアイライナーを買い、
好きなブランドの新作の香水の匂いを嗅いだ。ドラッグストアで予備のマスクも調達した。
気分はやや落ち着いてきていた。
帰りの手段を少し考え、「歩いて帰ろう」と思った。

 けやき通りを歩く。藍鼠色の空に向かって黒い枝がぴりぴりと、叫ぶように伸びている。
わざとゆっくり、きょろきょろしながら歩く。
セールの時だけ入る靴屋、好きだった喫茶店の入っていたビル。
もっと行っておけば良かったと思う度、
後味の悪いチェーン店のコーヒーの味が脳内を巡る。
好きな本屋、何か占い的に飛び込んでは、
その時々の答えをくれる本を買う。
あまり通ることのない、いくつかの似た様子の路地。
雰囲気の好きなイタリアンレストラン、
年に数回行くタイ料理屋。
けれども今日の彼女は、あることだけを探していた。
「せめて何かひとつ、今日の私にいいことをください」

 よそ見に疲れて通りをふらふら歩いていると、白い光がぼんわりと光っていた。
店の看板のようで、何度も通っていた道だったのに今まで気付かなかった店だった。
「野菜ソムリエ?」
同時にここのところまともな食事を取っていなかったことを思い出したが、
それよりも切実なことに、おなかがすいていた。
 階段を二階へと上がると、ガラス越しに白いカウンターテーブルが光っていた。
カウンターには新聞を広げたサラリーマン風の人、
テーブルには一組の落ち着いた夫婦っぽい二人、それと・・・
「いらっしゃいませ」
彼女は店の中に入っていた。

 メニューをぱらぱらと見て、一番上に載っている日替わりセットを頼んだ。
たぶん、それがその日の彼女に必要なメニューなのだ。
店内は広すぎるでもなく、小さすぎるでもなく、ちょうど腰掛けた椅子の感触のように、
ジャストサイズで居心地の好い空間だった。
ギアをニュートラルに入れるイメージで、背もたれにもたれかかる。

 彼女は仕事のことを考えた。いつ頃から仕事を楽しめなくなったんだろう。
いつの間に、失敗を恐れ、あらゆることに先回りをしすぎ、
頑なにそれをスタイルにしてしまったんだろう。
やってもやっても回ってくる仕事。
妙に気を回すことばかりを覚えて、ほんとに大切な、「楽しむ感覚」がぼやけたのかなぁ。
人のあらばっかり見えて・・・

「お待たせしました」
細長いプレートに、ちょこちょこといろいろな野菜が乗っかっている。
「あ、どうも」彼女は軽くおじぎした。目を皿の上に置いたまま、
手を伸ばしてれんこん模様の箸立てからお箸を取る。
かぶを食べる。何気なく口に運んだが、口がおどろいていた。
ほんのり甘く、やわらかく、味に深みがある。
かぶなんて、食べたのいつ以来だろう。
間違いなく一人暮らしを始めてから買ってない。
こんな味だったんだっけ。
にんじん。間違いない、甘い。砂糖で甘いんじゃない、
にんじんが甘くなろうと決めたら、こんな味という甘さというか。
彼女は農業はおろか、家庭菜園なんてものにすら、興味は微塵もなかった。
けれど何となく、本能がそれと感じるものがあった。
「土なんだよ」という言葉が聞こえた。
次は、れんこん。軽く衣がついていて、からりと揚げてある。
それを口に入れると、シャク、という音がした。
れんこんは、もちっとした食感と、気持ちいい歯ごたえとで彼女を満たした。
青菜の煮浸しは味が薄いはずなのにしっかりと味わいがある。
マジックだ。
どうやってこんな風に味付けが出来るのかわからない。

 ふと、彼女は箸の手を止めた。
「私、この野菜とつながってる」
お互いの存在に気付いて触れ合う、といった感じ、いや、野菜が一方的に与えてくれてるのか。
彼女はなるべくゆっくり、ひとつひとつを丁寧に食べていった。
どれも、無造作に食べてしまうにはもったいないやさしさに満ちていた。
ぴかぴかと光るごはんも、お味噌汁も、メインのおかずも、一粒たりとも残さず食べあげた。
それは彼女がというよりは、彼女の体が望んでいたことのようだった。
思いもよらない食事に、頭がほうけたようになって、一面のガラス窓の外の、
すっかり暗くなったけやき通りを眺める。
「私、もう少しまともな生活をしよう。今までの生活じゃジャンクそのものだよ」
クシャクシャ、とマスクが入ったビニールが音を立てて笑った。

 店の階段を降りると、一本の木が目に入った。
どんなに疎い人だって幹の肌をちょっと見れば分かる。それは桜の木だった。
春になったら、ここは桜が咲くんだ。
入る時に見た光る看板を見る。
ニコレ。
その店の名前だった。

 帰り道、彼女はわき目もふらず、しかしゆったりと歩いた。
ある予感が降りてきた。
きっとこの帰りにあの猫たちに会える。
間違いない、会える。
そしたら「さっき何を話していたの?」って聞こう。
逃げようとしたら、追いかけてやるから。
ふと携帯を見ると、彼氏からの不在着信が入っていた。
「さっきはごめん」のメールも。

 彼女は夜道を踊るように歩いた。
小道に逸れてからは、誰も見ていないのを確認し、
3回、大きなサークルを描いてステップまで踏んだ。
子どもの頃、褒められたことのある創作ダンスだ。
彼女が踊った後に、猫が続く、その猫をもう一匹の猫が追いかける。
誰もつかまらないから、三匹は大きなサークルの中を回り続ける。
夜の舞台を、いつまでも、飽きることもなく。
彼女はますます猫たちに会いたくなり、けやき通りにありがとう、
と呟き、家路を急いだ。

春を待つ月が、彼女の後をゆっくり追いかけていった。

テーマ:お話 - ジャンル:その他

  1. れすとらん
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れすとらん 『バル難破船』のちいさなお話 :: 2010/09/13(Mon)

スペイン料理『バル難破船』は薬院ボンラパス近くに、
おや、ここはなんだい?といった風体で存在します。

バル難破船


お昼はやっておらず、夜だけ嵐の大海原に漕ぎ出すようです。
先日atoaふたりでごはんを食べにゆきました。
サングリアに溶けている色々なフルーツの香りを楽しみつつ、
オリーブオイルに泳ぐキノコをつつき
味の深い生ハムとお野菜を一緒にたべながら
楽しくぺらぺらおしゃべりをしていたら
日ごろの、いつの間にか降りつもるほこりが
ぱぱっ☆ さらさら~っ
と浄化されていきました。
よい夜でした。

おいしかったなぁ、楽しかったなぁ、と思っていたら
『バル難破船』にまつわるこんなお話を妄想しました。
よければ読んでやってください。


aya


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『バル難破船』のちいさなお話


ある9月の夕方過ぎ、「ゲリラ豪雨」が街を襲いました。
彼はあと一件営業先を回ってから帰ろうと思っていたのですが、
傘も持っていないのにあんまり雨がひどいし、
その日は何一つ良いことが起こらなかった上にこの仕打ちか、
などと思うとすっかりやる気も失せてしまいました。
数少ない一張羅のスーツをびしゃびしゃ濡らす、止む様子のない雨に
すっかりふてくされ、半ばやけくそで彼はそのお店に入りました。

薬院付近は昼間仕事中によく通っていましたが、
そのお店のことは長らく気がつきませんでした。
気付いた後も、この店潰れてるのかな?と思っていたくらい
昼間のその場所はしん、と沈黙していたのです。

「難破どころか沈没してるんじゃないのか?」

などと辛らつなジョークでひとりつっこみをしつつ
店の前を通り過ぎていた彼でしたが、
急な大雨に打たれて途方にくれ、
行き着く先をあてどなく探すその日の彼こそ
さながら難破船のようでした。

「客がおれだけだったらどうしようかな」

と、ドアを開けながらちらりと不安が過りましたが、
予想に反してお店の中は人でいっぱいでした。

「あれ、結構人気なんだ。ここ。」

彼は心の中でこっそり詫びをいれました。
外では雷が激しく鳴り、近くに落ちたような感じで
強く轟音がとどろき、船内のような店の内装をガタガタ震わせました。
きっと外では大波がこの船を飲み込む勢いでしぶきをあげているはずです。

「予約なしですか? えぇと、カウンターでもよろしいですか?」

ロマンスグレーの髪をふわりと身だしなみよく分け、
鼻めがねをしたマスターが彼に話しかけました。

「あぁ、大丈夫です」

彼が通されたのはカウンターの隅から2番目の席でした。
そこが唯一空いている席だったのです。
右隣には明らかに香水を振りすぎた
4、50代とおぼしき広告業界風の男性が
スペインワインについてうんちくを語っており、
そして左隣には一人で、
ほおずえをつきながら爪楊枝のような串で
何かをつついて食べようとしている女のこがいました。
彼女がつついているものと、彼女のことも気になった彼は
濡れたスーツのジャケットを拭く振りをして
ちらちらと彼女と彼女が串でつついているものを観察しました。

「キノコですよ。マッシュルーム。」

女のコが唐突に言いました。

「えっ、あぁあそうなんですね」

不意を突かれて彼は狼狽し、汗がどっと吹き出る気がしました。

「ほおずえついて食べるなんてお行儀が悪いけど、
この料理だけはそうやって食べるの。
おいしいからあなたもどうぞ。」

と、串の入った筒を「とん」と彼の前に差し出しました。
初対面なのによくしゃべるというかオープン過ぎると言うか・・・
まだ混乱したまま彼は言われるがまま筒から串を一本とりだし
マッシュルームを口に入れました。

「あ、うまい」

とろりとしたガーリック風味のオリーブオイルがマッシュルームに絡んで、
彼の脳のおいしいスイッチをピコンと押しました。

「ふふ、そうでしょ。エビの土鍋焼きも捨てがたいけどね。
あとね、フランスパンも外しちゃだめよ」

と自分のパンの皿を押しやってきます。

「ありがとう。」

そうやって彼女は自分の料理を彼に勧めると、
あとは次々としゃべりたいだけしゃべり始め
結局2人は一緒に食べることにしました。

飲み物はサングリアで、
ここの生ハムは外せない。
ムール貝もいいね、わたし貝好きなの。
でも鴨胸肉のソテーバルサミコとフルーツのソースも
絶対!おいしいに違いないと思うな。

終始彼女のペースです。

けれども彼はそう悪い気もせず、
むしろ彼女の選ぶ料理に舌鼓をうちつつ、
少しずつ濡れた服が体温で乾いていくのを
楽しんでいました。
お客さんたちもめいめいの席で
あれこれとおしゃべりをし
難破船の船内で束の間、
スペインのどこかの街の一角にある
バルを楽しんでいるようでした。

ふと、彼女が黙ってカウンター前にある
生ハムの“脚”をじっと眺めました。

「どうかした?」

彼はお店の暗い照明のもとで、
彼女の少し空ろになった目を少しあわててのぞきました。

「うーん。ああやって生ハムさんが
足かせで留められてるのを見るとね、
自分が昔奴隷だったときに足かせを
はめられたのを思い出すような気がするんだ」

彼はあっけにとられて目を丸くしました。
何言ってんだ、この人。

「それでね、毎回無理だ、
わたしには食べれない、って思うんだけどね、
でも食べるとおいしいんだ。これが」

そういってぱくりと生ハムをほおばって、にこりと笑いました。

「まぁねぇ。。」

生ハムはしっかりした味で
じわじわと旨味にあふれていました。
サングリアを飲み干すと彼は彼女に尋ねました。

「なんでこの店のこと知ったの?」

彼女は横目で彼のことを見て、
そんな野暮な質問をなぜこの人はするのだろう、
といった顔をしました。

「わたし、フラメンコしてるの」

「それで?」

「だからよ。」

彼はそれ以上聞くことを諦めて食事に徹しました。

「でもね、へたなんだー。踊りが全然」

そういってちょっと頭の中で自分の踊りを回想しているようでした。

「うん、まぁあんまり上手そうじゃないね」

彼はもう言いたいことを言うことにしました。

「うー、そうなんだよ。
上手そうに見えないっていうのも大いなるハンデよね」

彼女はおおまじめにそう答えました。
その後2人共おかしくなって一緒におなかを抱えて大笑いしました。


2人でお会計を済ませて店を出る頃には
すっかり雨も上がり、外の海原は凪になっていました。
難破船は無事にどこかの港に寄港したようで
街の灯りがキラキラ濡れた街に灯っていました。
彼はそんな風に想像して、
ロマンチックな気持ちになりました。

「あー、よかった雨あがって。それじゃまた。」

そういって踊りのへたなフラメンコむすめは
さっさとどこかへ消えてしまいました。

おいおい、まぁ連絡先くらい教えてくれなくてもいいんだけど・・・
始まりも唐突、終わりも簡潔、なんだあの人。

彼はしばらくぽかんとその場に立っていましたが、
ふとさっき彼女が「イカ墨の炊き込み」を食べて
プロレスのヒール役みたいな黒いくちびるをしていたな、と
思い出して声を出して少し笑い、


あめあめふれふれ、おおあめふれ。

と口元でぼそぼそと唱えてから、
『バル難破船』を後に、帰途についたのでした。
お店のランプがぼわりと光っていました。


おしまい

テーマ:こんな店に行ってきました - ジャンル:グルメ

  1. れすとらん
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