atoaゆるゆるぶろぐ





スポンサーサイト :: --/--/--(--)

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. スポンサー広告

あさだ荘的なお話 :: 2012/04/12(Thu)

IMG_4305.jpg

旅する豆本展@かもめ食堂さん

今かもめ食堂さんに、atoa作・画のひとつの短いお話を飾らせていただいています。
(どこに飾っているかは行ってのお楽しみ)

このお話、始めて「あさだ荘」の中の「かもめ食堂」に行ったときに感じた印象を
お話に落としたものです。

空気感と言いましょうか。

私はあの場所に流れる空気が好きなのです。


***************

「いろは荘、りんごパイ会議ときくらげやさん」


 「なつかしぃ感じだなぁ、こういう雰囲気いいよねぇ」
そこを訪れる人々は口々にそう言います。
「先の時代の空気と言おうか」
いくつだかわからない男性がそういってうむ、と頷きました。

 いろは荘には一坪くらいのスペースのきくらげやさんがあります。
きまじめな顔をしたきまじめなひとが質の良いきくらげだけを売る店です。
普段あまり動くことのないきくらげやさんですが、
今日はすこしばかり目をしばつかせながら
使い古してクタクタ柔らかくなった麻布で眼鏡を拭いています。
 スパイスの効いたカレー屋さんやおかしやさん、
寄せ植えなどを売りつつ頼めば何でもやってくれる
植物やさん、何屋か全く不明なアーチィなお店など、いろは荘にはいろいろ入っています。

 ピンクの篭の付いた自転車に乗った女の子が、ギギーっとブレーキの音を軋ませ、
ぴょんとポニーテールをふりながら元気よく中に入っていきました。
 ここではきまぐれにりんごパイ会議とやらが開かれているそうで、
なんでもロシアンルーレットで当たった人の焼いたりんごパイを皆でほおばりつつ、
ぐだぐだととりとめのない夢の話や幻の話を語るのだそうです。
「そういうのっていいよね」
 カレーを食べにきた女の子達が話しています。

 カレーやさんの女主人は少し紅い頬の色をして
「今日はもうお客さん来なくていいわ」
などといいながら手際よくスパイスを焦がしにかかりました。
昨日少しばかり熱がでたからみたいです。

 ポニーテールの子は
「自転車の後ろに木箱を取り付けてほしいんです」
散策から帰ってきた植物やさんに伝えた後、
「その木箱にお野菜いれたくて」
と付け加え、話し終わるとまたひらりと自転車にまたがり
鼻歌を歌いつつ通りを帰っていきました。
 きくらげやさんは元通りに、古びた油絵のようにぴくりとも動いていません。

 スパイスのよい香りがお店の外に流れ出し始めた頃、
カレー屋さんを新しいお客さんがのぞきました。
「変な時間だけど、いいですか?」
 女主人は「ええどうぞどうぞ!」
とエプロンで手を拭きながらはきはきと出迎えました。
お客さんたちは顔をほころばせながら木の扉をギィ、と開きました。

 カレー屋さんのお手洗い近くに置いてあるホヤ・カーリーのハートの芽が
ぴぃぴぃと四、五センチほどのびてきており、
そのとったんで背伸びしいしい、新しい空気を作り出しています。

 今日の空はおおらかなみず色をしていて、見上げると
まるでハートの芽に顔をそっと寄せた時感じる微細な空気の変化のように
とりまく風のようななにかが、辺りと違って流れるのでした。

IMG_4317.jpg


スポンサーサイト

テーマ:作家活動 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 制作・作品
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
<<F市参加してきました | top | かもめ食堂さんのカレー>>


comment

comment


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://atoa45.blog52.fc2.com/tb.php/145-4a74fad6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。