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ひかり :: 2011/03/17(Thu)

ひかり


ある山の中に、こびとがひとりで住んでいました。
とてもへんくつで、ひとりでいることをこよなく愛していました。
こびとは自分で自分のあらゆる生活のめんどうをみていました。
それを得意に思っていました。
ある日、こびとはちょっとしたけがをしました。
こびとはひどく不機嫌になり、どかんどかん森の木を蹴って回り、
ぶつくさ言って眠りました。

次の日、朝になっても夜明けはやってきませんでした。
いつまでたっても真っ暗闇のままです。
物音一つ、聞こえてきません。
こびとは怖くなって、ほうほうのていで家の外に出て、
思いっきり叫び声をあげました。
声が嗄れてもがらがらと声を出しつづけました。
いつしか泣き叫んでいました。

と、向こうにちいさな灯りが見えました。
灯りはゆらゆらとこびとの方へと寄ってきます。
こびとは灯りを自分にたぐり寄せるように、精一杯声を出し続けました。

それは女の子のこびとでした。
あちこち傷だらけになって、でも一生懸命
遠くからの声をたよりにやって来たのでした。
こびとはほろほろと泣きました。
それを見て、女の子も涙を流しました。
女の子の涙が地面に落ちたとき、それは細かな光る石になりました。

ふたりは一緒に仲間を呼ぼう、と声を出しました。
こびとは相変わらずだみ声で叫びました。
驚いた事に、女の子は叫ぶかわりに歌を歌ったのでした。
遠くに響く、静かな歌でした。

しばらくすると、また一つ、灯りがこちらに近寄ってきました。
それは髭をはやしたおじいさんこびとでした。
おじいさんは随分くたびれて悲しそうでした。
女の子はおじいさんの両手をとって、あっためるように握りました。
それを見たこびとは、おじいさんにとっておきの百面相をしてみせました。
今まで誰にもみせたことのない面白い顔です。
おじいさんは目を細めてうれしそうに、ひゅぅ、と息をつきました。
息が一瞬きらり、と光って消えていきました。

3人は併せて歌を歌いました。
今度は楽しい歌にしました。
できるだけ楽しそうに、輪になって歌いました。
すると3人の口から光る蝶が飛び出していきました。
3人はびっくりして、それから笑いました。

随分遠くにぽつりぽつりと灯りがともり始め、
灯りは3人のいる場所を求めてぞろぞろと集まってきます。
歌声は5人、10人、と増えてきました。
こびとはここに100人集まったら、今度は何が飛び出てくるんだろう、
と想像し、ゆかいな気持ちになりました。

夜明けがやってこなかったのは、こびとのせいだったのでしょうか。
それはわかりません。
けれど、
もうすぐこの場所は、光でいっぱいになるでしょう。
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テーマ:ことば - ジャンル:学問・文化・芸術

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