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雨傘の下の蛙 :: 2011/04/17(Sun)

ぴちょん、ぴちょん。
ぼくは待っている。
お気に入りのれもん色の雨傘を持って、にじ色の雨が降るのをこのところ、
ずっと待ってる。
さいきんの雨はずっとはいいろだって、雨傘が悲しがってた。
だってせっかくのれもん色が映えないだろ?
今日もざんねんながらはいいろくもり空だ。

 この傘がれもん色だってことは、この傘をくれた女の子が教えてくれた。
ぼくがお気に入りの岩の上で「あまい味のする雨をたたえる歌」を歌ってたら、
その子が近づいて来て、ぼくの前にしゃがんで傘を差し出したんだ。
しょうじきに言えばぼくに雨傘はひつようない。
だけど、その傘の色がとてもあかるいきれいな色で、
ぼくのみどりとよく似合ったもんだから、ぼくはつつしんで
その贈り物をうけとることにした。
それにさ、ここだけの話、その子けっこうかわいかったんだ。

 ぼくは水かきをお日さまに透かしてみたりする。
水かきの先の丸いかたちに、ぼくはちょっとばかり自信がある。
「あまい味の雨~」を歌うときの姿勢もなかなかだとおもってる。
でもにじ色の雨は降ってくれない。

 知り合いの心臓外科のお医者さんかわうそがぼくの隣にやって来た。
「あんまりはいいろの雨ばかり降るから、この前ながいながい電車に乗って来たよ」
お医者さんかわうそはめがねを外し、
前足のけがわで器用にめがねをごしごし拭きながら話してくれた。
「それはもうまったく、長い時間だったんだぜ」
と、さも感慨深げに言う。
「ながいながい電車に、ながくながく乗って、
にじ色の雨のことが何かわかったかい?」
ってぼくが聞くと、
「いやなに、コーヒーを飲んで来たのさ」
お医者さんかわうそは神妙な顔をして言う。
深煎りコーヒーを気取ってるんだ。
「なんだい、それ」
ぼくは半ばあきれながらも、ちょっと感心する。
ぼくは待っているんだ。

 ひにく屋の書道家アルパカが通りかかった。
「なんだ、ちょっとくらい、わかってきたかね」
長い首をくねくねひねりながら、
ちょっとこばかにしたようにぼくを見る。
じっさいにはばかにはしてないけど、そんな顔つきなんだからしょうがない。
「なにがさ」
ぼくは耳半分、目はかたっぽつぶって聞いてみる。
「待ってもむだってことがさ」
ぼくは返事をせずに、片耳につっこんでいた水かきをぴょい、と出し、
そのまま空をじっくり、指差してから、目の前の水たまりに飛び込んだ。
はいいろの水たまりは目にちくちくする気がする。
足長のあめんぼと競争したけどかんぜんに負けて、のろのろと水たまりを出る。
ひにく屋の書道家アルパカはさらさら、と何かを書いて
ぼくにぽい、と投げてよこした。
「買うと高いんだからね」
こちらを横目で見ながらそう言って、
首をくねくねさせながらどこかへ行ってしまった。


 雨が降って来た。
はいいろのやつだ。
ぼくはれもん色の傘をさして近くの石のへりに座る。
いつの間にか、傘の内側に
生まれて間もない赤ちゃんかたつむりがくっついていた。
けんかっぱやそうな顔をしている。
「おまえ、まだにじ色の雨を見たことないだろう」
ぼくは赤ちゃんかたつむりの小さい目をのぞき込むように言った。
「アル」
赤ちゃんかたつむりはつのをいっぱいにいからせた。
「ジジイロノ、ジジ」
「おいおまえ、ちっともうまくしゃべれないくせに、いっぱしだな」
ぼくはまるい水かきの先っぽで赤ちゃんをぴん、とはじいてやった。
赤ちゃんはすばやくうずまきの中にひょいと隠れた。
「よし、きみはゆうしゅうだ」
ぼくはれもん色の傘をくるりと1回転させた。


はいいろの雨は、鼻歌でも歌うように のんきにずうっと、降り続いている。



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Special Thanx to:「雨傘の下の蛙」さん。
すてきなインスピレーションを、ありがとうございます。
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